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今回は、IPO(上場)前に行うデューデリジェンス(その中でも特に法務デューデリジェンス)について説明をします。
IPO(上場)の関係者は、事前に対象会社の問題点を調査・検討するデューデリジェンス(以下「DD」といいます。)を行います(DDおよび法務DDについては、第9回の記事で説明をしています。)。
そして、DDの内、IPO(上場)のために、弁護士や社会保険労務士が対象会社の労務に関する法令遵守体制を調査・検討する作業のことを労務DDといいます。
労務DDにあたっては、まずは、就業規則や給与規程などの規程が労働関係諸法令に違反しないかどうかについて調査・検討することになり、その上で、規程の運用に問題がないかどうかについて調査・検討することになります。
労務DDでは、労働関係諸法令に関わる問題を広く調査・検討することになりますが、IPO(上場)にあたりよく問題になるものとして、未払い賃金が挙げられ、また、最近よく問題となるものとして、ハラスメントや過重労働が挙げられます。今回はこれらの問題の内、未払い賃金について説明をします。
未払い賃金は、サービス残業の強要のように会社が意図的に行う場合は勿論のこと、労働時間管理や賃金計算の過誤のように会社の不注意の場合にも発生します。
そして、未払い賃金が発生した場合には、会社は労働者に対して2年分の未払い賃金を支払わなければならないことになり(なお、2年を超えた未払い賃金については時効によって消滅します[労働基準法115条])、労働者数によっては千万円単位の未払い債務を精算しなければならないことになります。
このような未払い賃金の問題に対し、労務DDを行う弁護士や社会保険労務士は、タイムカードや従業員に対してのヒアリングを基に、上場を予定している会社の実態調査を行います。実態調査により未払い賃金が明らかになった場合には、上場を予定している会社は、未払い賃金を従業員に対して支払うとともに、従業員から、未払い賃金がこれ以上存在しないことを確認する労働債権不存在確認書の提出を受けます。
実態調査および書面での確認作業は、過去2年間に退職した従業員についても、行う必要があります。退職した従業員については、会社から連絡を取ることができなくなってしまうことがありますので、退職時にあらかじめ未払い賃金があるようであればその支払いをするとともに、労働債権不存在確認書の提出を受けるか、清算条項(「私は、貴社に対して、時間外労働手当請求権等をはじめとした一切の債権を有しないことを確認いたします。」というような条項)がある退職時誓約書の提出を受ける運用を行うことをお勧めいたします。
また、未払い賃金が問題となる時間外労働の状況について、実際の上場審査においては、月次単位での労働時間の開示を求められることがあります。労働時間の開示を求められた段階で、労働時間集計表を作成し、労働時間を算出することになると、手間を要することになります。このような手間を避けるためにも、また、未払い賃金の問題を未然に防止するためにも、普段から労働時間を適切に管理していただければと思います。
2016年7月 執筆
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