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前回、上場後に上場会社が行う情報開示・情報提供活動を説明しましたが、今回は、上場後に開催する株主総会について説明をしたいと思います。
株主総会とは、株主によって構成される会社の重要事項に関する意思決定機関です。株主総会では、主に、会社の重要事項の決定や事業報告、決算報告・承認等を行います。
株主総会は、会社で重要事項を決定する場合等において原則として開催が必要となるものですので、会社法上、上場会社のみが開催すべきものではなく、未上場会社においても開催すべきことになっています。
それでは、上場後の株主総会と上場前の株主総会では、どのような違いがあるのでしょうか。
上場後の株主総会と上場前の株主総会では、主に株主の数や会社と関係のある株主の割合が異なることが原因で違いが生じてきます。すなわち、上場会社は、市場において株主を広く募集することになるため、これに伴い株主数が急増し、会社と関係のない者が多く株主となります。他方、未上場会社は、創業者の親族や取引先などの会社と関係のある者が会社から直接株式を購入することによって株主となることが多いため、株主数は限定され、会社と関係のある株主が大半を占めることになります。
そして、会社法上、株主全員の同意があれば、株主総会の招集手続・開催・事業報告・決算報告を省略できることになっているため(会社法300条、会社法319条、会社法320条)、株主が限定されている未上場会社では、このような株主総会の省略が多く用いられています(なお、会社法上違法ではありますが、実際上、株主総会を開催しない会社も少なくはありません)。このことから、未上場会社における株主総会の重要性はそれほど高くはないといえるかもしれません。
他方、上場会社においては、多数の株主が存在し、会社と関係のない株主の割合も高いことから、株主総会を省略するために株主全員の同意を得ることは不可能に近く、株主総会を省略することはできません。そうすると、上場会社としては、株主総会を開催し、会社法に定められた手続に従って実施しなければならないことになります。したがって、上場会社は、株主総会の開催のために弁護士や証券会社からアドバイスを受けながら十分な事前準備を行う必要が生じてくるのです。
それでは、上場会社が株主総会を開催するにあたって、具体的にどのような準備を行い、どのような点に注意しなければならないでしょうか。
まず、上場会社は、会場の手配・設営を行わなければなりません。一言に会場の手配といっても、場所の選定・予約や会場のレイアウトの決定、役員や事務局の着席位置の決定、スクリーンや受付の設置など、行わなければならないことは少なくありません。
次に、株主総会の議事手続に会社法上の違反があれば株主総会決議が後から取り消されてしまう可能性があります(会社法831条1項1号)。そこで、会社としては、会社法上の問題が生じることがないような株主総会の進行に関する詳細なシナリオを作成する必要があります。株主総会の流れとしては、議長の開会宣言に始まり、監査役の監査報告や事業報告・決算報告等を経て各議案の上程・質疑応答・採決を行い、議長の閉会宣言で終わることになるわけですが、シナリオは、議長の発言内容や入退場のタイミング等も含めた細かなものを作成することになります。また、株主総会に出席した株主から動議(予定されていた議案以外の議案等を決議するよう求めること)が出される可能性があるため、この対応についても想定されるケースごとにシナリオに記載しておかなければなりません。
また、株主総会では、質疑応答の際に株主から質問がなされることがあります。そして、取締役は、株主からの質問内容によっては説明義務を負うことになり(会社法314条)、仮に説明が不十分であると後に株主総会決議を取り消されてしまうおそれがあります(会社法831条1項1号)。そこで、会社としては、質問がなされる可能性のある事項を想定し、模範解答(想定問答)を作成しておくことが必要となります。この作業は、会社の業績や事業内容等を振り返り、株主からの質問内容をできる限り漏れなく予想し、それに対する十分な回答を検討するものとなります。
その後、株主総会当日の流れを確認するためにリハーサルを複数回行うことになります。リハーサルでは役員の入退場方法や礼のタイミング・立ち位置、議長のマイクやナレーションの音量、照明の状況等、様々な細かい事項まで確認・検討しなければなりません。
このように入念な準備を重ねたうえで、ようやく株主総会当日を迎えることになるわけです。
以上、上場後の株主総会について説明をしましたが、株式上場を検討している会社としては、上場後は株主総会の開催が会社の重要業務となることを十分に意識しなければならないと思います。
2016年1月 執筆
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