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現在、フランチャイズシステムの大きなメリットとして第一に挙げられるのは、ビジネスの経営拡大戦略の手段という点です。
小資本で、競争力が乏しいベンチャービジネスは、その人・資金の不足という点を解消して競争力をつけることを考えなければならず、その際には、他人の資本やパワーを自社のパワーとネットワーク化・一体化することにより競争力をつけることが必要となります。これを実現させるものとしてフランチャイズシステムを考えることができます。
フランチャイズ導入を考えている企業にとってフランチャイズシステムによる経営戦略を学ぶためには、多くの書籍がありますので、ここでは、法律的な視点から、フランチャイズ本部立ち上げ・構築のポイントを説明することにします。
ポイントは4つで、順に説明を記載します。
フランチャイズ・ビジネスの特色の一つとして、加盟店が本部(フランチャイザー)の商標やそのほかの営業の象徴となる標識を使って営業を行う権利を与えられるということがあります。
本部にとり重要であるのは、特に本部が有する商標(サービスマークを含む)をフランチャイジーに使用許諾するという点です。本部がフランチャイジーに商標の使用許諾をするためには、当該本部はその商標権者(当該商標の持ち主)であることが必要です。
商標権は商標を特許庁に登録することで発生する権利です。
フランチャイズ本部としてはフランチャイズシステムを導入する以上は、当該フランチャイズチェーンで使用する商標を登録しておくべきですので、この点留意が必要です。
当該フランチャイズシステムに用いられる商標につき、他の誰かが商標登録をしていた場合には、フランチャイズチェーンがすでに登録されている他人の商標や類似の商標を使用したとして、商標登録をしていた商標権者から当該商標の使用の差止め等を請求されたり、そのフランチャイズチェーンの名称の変更も考えざるをえないことになりかねず、また、フランチャイジーにも多大な損害を与えることにもなりかねません。
商標はフランチャイズシステムの根幹をなすものですので、本部としては法律的な保護を受けられるよう十分な手段をとっておくべきです。
なお、会社の名称である「商号」と商品やサービス(役務)に関する標識である「商標」は法律的には違うものですので注意してください。
フランチャイズシステムを導入しようとしている会社としては、すでにいくつかの直営店があり独自のノウハウ等が蓄積されていると思われますが、フランチャイジーにそれらを提供するにあたり、それらのノウハウ等をどのように本部として守っていくか、を考えなければなりません。
本部がフランチャイジーに渡したマニュアル等が競合他社に渡らないようにどのようにフランチャイズ契約において規定すればよいのか、また、ノウハウ等を学んだフランチャイジーがフランチャイズ契約に拘束されたくないと考え、フランチャイズから離脱して、独自に店舗を経営していきたいと考えるようになった場合、そのようなフランチャイジーに対する対策としてフランチャイズ契約上どのような規定が必要となるかについて検討しておく必要があります。
フランチャイジーからのノウハウ等の漏洩を防ぐためには、フランチャイズ契約上、秘密保持条項を入れておくことが必要となるでしょうし、また、ノウハウ等を学びフランチャイズシステムから離脱しようとするフランチャイジーに対する規定としては、フランチャイズ契約終了後の競業避止義務を定める条項を入れておく必要があります。
フランチャイズ・ビジネスにおいて、本部と加盟店であるフランチャイジーの間の数年にわたるフランチャイズ契約期間における権利及び義務を規定するものがフランチャイズ契約です。フランチャイズ契約の締結により本部とフランチャイジーの間にはフランチャイズ関係が生まれるのであり、フランチャイズ契約は非常に重要な意味を持っています。
フランチャイズ契約は複数のフランチャイジーの間で締結されるものであり、フランチャイズビジネスの統一性やすべてのフランチャイジーを平等に扱うという観点から、フランチャイズ本部と個々のフランチャイジーとの間の交渉で大幅な変更や修正をすることができない性質のものです。
フランチャイズシステムのたち上げの時期のフランチャイズに加盟した者と後の時期になって加盟した者でフランチャイズ契約の内容の本質的部分が異なるというわけにはいきません。
従いまして、フランチャイズ契約はフランチャイズ導入の段階で、後のことまでを視野に入れてフランチャイズビジネス全体の運営が適切かつ効率的になされるように十分配慮して作成されなければならないものです。
フランチャイズ契約は将来のフランチャイズシステムに関わる重要なものですから、何かトラブルが発生する前に、特に本部としてはフランチャイズシステムの立ち上げ・構築の際に弁護士等の専門家のアドバイスを受けて十分に配慮したフランチャイズ契約を作成するようにすべきです。
トラブルがフランチャイジーとの間に発生すればそこではまずフランチャイズ契約書においてどのような条項になっているかが重要なポイントになります。現実にフランチャイズ本部とフランチャイジーの間の訴訟事件はいくつも発生しています。
訴訟事件となればフランチャイズシステムとしてイメージダウンにもなりかねず、弁護士・訴訟費用も本部にとり多大な負担になりかねません。このような点を考えて、フランチャイズ導入を考えている企業としては、紛争の予防としてフランチャイズ契約の作成に留意することが大切です。
フランチャイズ契約締結に関連しフランチャイジーを保護することを考慮している法令として以下の(a)と(b)の二つが問題となりますので、フランチャイジーを募集するフランチャイザーとしては十分に留意してフランチャイジーの募集をすることが必要です。
また、法令として特に明確に規定されているわけではありませんが、民法上の問題として、(c)の信義則上の情報提供・開示義務がありますので注意することが必要です。
独占禁止法第19条は、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない」と規定しています。そしてこれに関連して、不公正な取引方法を規定するいわゆる「一般指定」の第8項は、「自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について、実際のもの又は競争者に係るものより著しく優良又は有利であると顧客に誤認させることにより、競争者の顧客を自己と取引するように誘引すること」としており、欺瞞的な顧客誘引行為を禁止しています。
フランチャイジーになろうとする者に対する虚偽又は誇大な情報に基づく勧誘行為は、この第8項により規制されています。
そして特に、公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(平成14年4月24日)では、フランチャイジーの募集にあたり、8項目の重要事項を掲げて応募者に誤認を与えないように留意すべきで、これを怠り十分な開示を行わず、又は、虚偽もしくは誇大な開示を行った場合には不公正な取引方法の一般指定の第8項に該当するおそれがあるとしています(すなわち、独占禁止法違反になるということ)。
ここでの8項目は以下のようになっています。
これらの8項目の事項を開示しないと直ちに独占禁止法違反となるというわけではありませんが、独占禁止法上の情報提供・開示として望ましいとされているものですから、フランチャイザーとしてはフランチャイジーとなろうとする者に対して上記の事項を開示するよう留意すべきです。
中小小売商業振興法の第11条(この施行規則については、平成14年3月に改正が行われています)によってフランチャイザー(特定連鎖化事業を行う者)はフランチャイジーとなろうとする者に対して契約前に書面を交付し、重要事項について説明することが義務づけられています。
そのときの説明のための書類は「法定開示書面」や「契約書のあらまし」と呼ばれています。
近時、フランチャイズ本部とフランチャイジー希望者との間におけるフランチャイズ契約の締結過程において、フランチャイザーは「適正かつ客観的な情報提供をその内容とする信義則上の保護義務」をフランチャイジー希望者に対して負うという判決例が出ています。それらでは具体的な事実関係は異なっていますが、「立地判断・売上予想」に関する情報提供につき、フランチャイズ本部が適正かつ客観的な情報をフランチャイジー希望者に提供しなかったとしてフランチャイズ本部に損害賠償責任があるとされた事例があります。
従って、フランチャイズ本部としては、特に「立地判断・売上予想」についての正確性が重要な争点として争われる裁判例の増加に鑑みて、これらの情報提供については特に注意をすることが必要です。
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