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テレワークで発生する費用負担の問題

第1 業務で発生する費用負担の原則

1.はじめに

画像 マスク

 20204月の緊急事態宣言の発令をきっかけにテレワークを導入し、従業員の新型コロナウィルスの感染防止のためにテレワークを継続している会社だけでなく、20211月の緊急事態宣言の再発令でテレワークを再導入する会社も多いと思います。また、テレワークは、働き方の多様性を確保し、従業員の働き方改革のためにも役立つものであるため、新型コロナウィルスの感染が完全に収束したafterコロナの時代にも継続することが望まれます。

 しかし、準備不足の状態でテレワークを導入したために、従業員が私物の端末などを使って仕事をしている会社も未だに多いでしょう。また、テレワークで仕事をしていく中で発生する費用の負担について、不安に感じている会社やその従業員も多いと思われます。

 そこで、テレワークで発生する費用の分担について、3回にわたってご説明します。

2.業務で発生する費用負担の原則

画像 テレワーク

 労働基準法第89条第1項には、就業規則において規定すべき内容が定められています。そして、この第1項第5号では、業務上発生する費用の負担について、労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならないとされています。

 

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

 すなわち、業務上発生する費用は、原則として会社が負担しなければならず、例外的に従業員に負担させる場合には、それを就業規則に定めなければならないこととなっています。

原則=会社が業務上発生する費用を負担

例外=就業規則に定めた場合に限り従業員が負担

 これは、自宅で業務を行うテレワークでも変わりません。そのため、テレワークで発生する費用も、会社が負担するのが原則であり、従業員に負担させるには、それを就業規則やテレワーク規程に定めなければならないということになります。

2021年1月

第2 テレワークで発生する費用の分担

1.テレワークで発生する費用の種類

画像 マスク

 テレワークで発生する費用としてまず思い浮かぶのは、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器に関連する費用だと思います。この情報通信機器に関連する費用は、①情報通信機器そのものに関する費用と②情報通信機器を使用するために必要な通信回線費用の2つに大別できます。

さらに、①情報通信機器そのものに関する費用は、(ⅰ)情報通信機器の本体費用などの購入費と(ⅱ)アプリのライセンス料などの利用の継続費用や情報通信機器の修理費用といった情報通信機器を継続的に利用するための維持費に分けられます。

 また、②通信回線費用は、(ⅰ)インターネット回線やWi-Fiなどの通信設備の開設や通信サービス契約の締結費用といった初期費用と(ⅱ)通信回線の利用料といった継続的費用に分けられます。

画像 情報通信機器に関連する費用
図1 情報通信機器に関する費用と情報通信機器を使用するための通信回線費用

2.業務で発生する費用負担の原則

画像 テレワーク

(1)情報通信機器そのものに関する費用

 職場では、情報通信機器は用意されており、情報通信機器に関連する費用は、当然、会社負担になります。また、テレワークに限らず、会社が支給する情報通信機器を使用する場合も、その費用や通信回線費は、会社負担になります。

 他方、テレワークでは、多くの場合、従業員が自身の私物の情報通信機器を使用して仕事をしていることが多いと思います(このような私物の情報通信機器を業務に利用することは、 BYOD(Bring Your Own Device) と呼ばれます。)。この場合、従業員がすでに所有している又はテレワークのために新たに購入した情報通信機器を使用することになるため、従業員が機器代金や継続費用や修理費用の負担していることになります。

表1 情報通信機器の費用の負担者
画像 情報通信機器の費用の負担者

(2)情報通信機器を使用するために必要な通信回線費用

 テレワークの場合、すでに自宅に設置されているインターネット回線や従業員名義で契約をしているWi-Fiなどを使用することが多いと思われます。そのため、(ⅰ)通信設備の開設や通信サービス契約の締結費用といった初期費用は、従業員が負担していることになります。他方で、(ⅱ)通信回線の利用料といった継続的費用については、私用と業務用の双方のために共用して切り分けが難しいことから、その費用負担の取扱いが問題になるでしょう。

 
表2 通信回線費用の負担者
画像 通信回線費用の負担者

(3)情報通信機器・通信回線費用以外の費用の分担

 文具、備品、宅配便等の費用については、領収書などで支出額が明確になるため、実費精算で会社が負担する必要があります。しかし、水道光熱費については、自宅の日常での使用分と業務での使用分との区別が難しいため、その費用負担の取扱いが問題になりやすいでしょう。また、自宅環境の問題で、自宅で仕事ができない場合には、コワーキングスペースなどの施設を利用する必要も出てきます。そのため、この費用を会社が負担するかどうかも問題になると考えられます。

 他方で、テレワークにより従業員の通勤がなくなるため、通勤交通費については、定期券購入費用ではなく、実際に通勤をした際の費用を実費精算で会社が負担すればよいことになります。そのため、通勤交通費については、従来よりも会社の負担は減ることになるでしょう。

表3 情報通信機器・通信回線費用以外の費用の負担者

 テレワークで発生する費用の分担については、ここまでになります。次回は、私用と業務用で切り分けが難しい費用の分担方法とテレワーク手当についてご説明します。

 

2021年1月

第3 私用と業務用で切り分けが難しい費用の分担方法とテレワーク手当

1.私用と業務用で切り分けが難しい費用の分担方法

画像 マスク

 私用と業務用で切り分けができる費用については、実費精算で会社負担とする必要があります。また、切り分けができる費用か否かにかかわらず、就業規則に規定すればすべてを従業員負担にすることはできますが、従業員の負担が大きくなるため、現実的な対応ではありません。

 通信回線の利用料や水道光熱費などの私用と業務用に切り分けができない費用については、切り分けが難しい以上、従業員が実際に負担している費用を算出できないため、テレワーク手当、モバイルワーク手当、リモートワーク手当などの名称で一定額を従業員に支給する会社もあります。しかし、この場合について、会社が一部でも費用を負担していれば問題がないように思われるかもしれませんが、一定額を支給していたとしても、それを超える費用を従業員が負担していれば、従業員は業務のための費用を負担していることになってしまうため、注意が必要です。このような場合、会社が従業員に対して支給する額を超える部分は、従業員に負担させることを就業規則やテレワーク規程に定める必要がでてきます(この点については、テレワークで発生する費用負担の問題の第1回も参照してください)。

表4 私用と業務用で切り分けができる場合とできない場合の費用分担
画像 費用分担(私用と業務用)

2.会社支給のテレワーク手当

画像 テレワーク

 通信回線の利用料や水道光熱費などについて、会社が従業員に対して一定額を支給し、それを超える部分を従業員に負担させる場合には、厚生労働省が作成する「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」のとおり、次のように就業規則やテレワーク規程に定める方法が考えられます。

第●条 在宅勤務者が負担する自宅の水道光熱費及び通信費用(ただし、資料送付に要する郵便代は除く。)のうち業務負担分として毎月月額●●●●円を支給する。

 この定め方の場合、支給する手当を超える費用については、在宅勤務者が費用を負担する必要があると読取ることができるため、業務上発生する費用を従業員に負担させることを定めていることになります。

 ただ、本来的には、業務で必要になる費用は、すべて会社が負担することが望ましいでしょう。そのため、例えば、従業員に、テレワークをしていなかった時とテレワークを導入した時の通信費用や水道光熱費等を比較させて、テレワークをしたことで増えた通信費用や水道光熱費等を算出してもらい、1年間のテレワークの実績からテレワークを導入したことで増えた費用を従業員へのアンケートなどにより確認してみることが考えられます。そのような調査などのうえで、具体的な金額を算定し、できるだけ従業員に自己負担分が発生しないよう、全社的な定額の支給額を定めることが望ましいでしょう。

 3回にわたってご説明したテレワークで発生する費用負担の問題に関するコラムでしたが、今回をもちまして一旦終了となります。これまでお読みいただきまして、ありがとうございました。今後もテレワークに関するコラムを随時アップしていきますので、ご覧いただければ幸いです。

2021年1月

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